他人(ひと)にやさしい
電子メールの書き方
 

吉 田   一  (1A → 2H → 3H)

Mailing List 版初出 : 2000年7月10日〜27日
Web 初版 : 2000年11月18日 

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Web版のための序文
Web Master 序文 ・・・・・ 藤原 真由美
第0回 まえがき
第1回 読めないメール
第2回 メールの形式
第3回 文字コード
第4回 機種依存文字,外字は使わない
第5回 適当に改行して
第6回 不要な引用文は削除して
第7回 同報送信ではプライバシーに気をつけて
第8回 時間は正しい?
第9回 ホームページのアドレスの書き方
第10回 まとめ
謝辞

Web版のための序文

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メーリングリストに突然連載をしてから4か月,ホームページ用に
まとめるつもりが,ついつい遅くなってしまいました.
ホームページの隅に掲載いただければ幸いです.

ホームページ用として注を少し書き加えました.メールではできな
かったような形式の注もあります.

なお,本文を一行32文字未満で表示すると,強制改行しているため
に表示が乱れます.
 


Web Master 序文

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吉田さんの夏期講座が始まります

管理者の藤原(戸村@3C)真由美です。

このMLも96名と大所帯になり、嬉しい悲鳴をあげています。

ここには、インターネットやその仕組みを良く分かっている人も
ほぼ初心者の方もいろいろといらっしゃると思いますが、
みんなで気持ちよくメイルのやりとりができるように、

初心者のための講座を始めます。講師は吉田 一さんにお願いしました。

これから短期連載でいくつかの事例をあげながら、解説しますので
お楽しみに、また、分かっている方からのフォローも期待しています。

よろしくお願いいたします。
 



第0回 まえがき

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そういうわけで,講師の吉田一です.

藤原さんからのお知らせの通り,日刊(?)連載でメールの書き方の注意
を書いてみることになりました.

きっかけは約3週間前,6月20日の「読めないんです」事件です.
私が書くのが適当かどうかは疑問ですが,藤原さんばかりに手数をかけて
は申しわけありませんし,口を出してしまったついでにやってみます.

最近ではパソコン関係の雑誌でもこのような記事をよく見かけますが,
一般的にはまだ広く知られているとはいえないようです.すでにご存じの
方には少しもの足りない内容になるかもしれませんが,初心者向けという
ことで,あまり専門的にならないようにこころがけます.
1週間ほどお付き合いください.

ところで,mail の日本語表記は「メイル」でしょうか,「メール」でしょ
うか?
英語の音に近いのは前者ですが,新聞等の標準表記では後者です.
どっちでもいいのでしょうが,私はここでは後者を使うことにします.

では,あしたから.
 


第1回 読めないメール

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インターネット上の電子メール(e-mail)では,さまざまな言語,さま
ざまな種類のコンピュータによって通信が行われています.これらの違
いによって,自分の送ったメールが相手に読めないという問題が起きる
ことがあります.つまり,

あなたが自分のパソコンで書いた通りに相手が読めるとは限らない

のです.
ですから,相手を困らせないための心遣いとして,メールの書き方にい
くつかの注意が必要になります.

相手に読めない電子メールの原因は,おおまかに言えば,
 

・メールの形式の違い
・文字コードの違い
にあります.

第2回 メールの形式

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現在の電子メールの形式はText形式とHTML形式に大別できます.(★1)

Text形式は文字データだけを送るもので,以前からの標準的な形式です.
これに対してHTML形式は,文字と共に文字の大きさや色,強調などの修
飾情報,さらに図や写真,音などを付加して送ることができます.マル
チメディアに適した新しい形式です.

しかし,メールソフトによってはHTML形式が扱えないものもあります.
HTML形式のメールをこのようなソフトで読むと,文字化けを起こしたり,
通信文が何やら判じ物のような記号のなかに埋まっているような表示に
なったりします.

また,単に文字だけを送る場合であっても,HTML形式のメールはText形
式に比べてサイズが大きくなってしまいます.

送る相手がどんなメールソフトを使っているかわからない場合や,多数
の人に送るメーリングリストの場合には,Text形式で送りましょう.
(★2)
 


第3回 文字コード

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コンピュータで使われる文字は規格によって定められた文字コードによ
って表されます.しかし,国により,またコンピュータの機種により,
同じコードに別の文字が割り当てられてしまっている場合があるのです.
そのような「特殊文字」が文字化けの原因となります.

「特殊文字」とは次のような文字です.

 ・いわゆる「半角」のカナ文字
 ・コンピュータの機種によって異なる「機種依存文字」
 ・使用者が作った「外字」

これらの文字はメールには使わないようにしましょう.

・半角カナ文字

日本語の「半角」カタカナが割り当てられている文字コードは,米英で
は原則的に使用しない部分です.このために文字化けを起こします.最
悪の場合コンピュータの異常動作を起こす可能性もあります.

まちがえやすい例ですが,半角の「」(かぎかっこ)や・(ナカグロ)
も該当します.
 


第4回 機種依存文字,外字は使わない

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・機種依存文字

Windows 機と Macintosh 機では同じコードに別の文字が割り当てられ
ている場合があります.規格で未定義の部分を独自に利用しているので
す.これらの文字は相手には別の文字,または黒ベタ(■)で表示され
ます.

ここで例としてその文字を示したいのですが,困ったことにできません.
なぜならこの文章はメールとして送られますので,文字化けしてしまう
からです.ですから,次の例は「〜を漢字1字相当で表す文字」と解釈
してください.

【例】 I,II,III,IV などのローマ数字
    ○でかこまれた数字(丸付き数字)
    ミリ,摂氏温度,平方メートルなどを表す単位文字
    TEL,平成,(株),(月)などを表す略記号文字

また,人名用の異字体漢字の一部(高の異字体など)も該当します.

特に,丸付き数字や電話 (TEL) 記号はよく使っている人をみかけます.
気をつけましょう.
                      (文字化けの例)

・外字

自分で作成した外字もメールで送ってはいけないということは,言うま
でもありませんね.外字はあなたのパソコン内での閉じた世界の文字で
す.
特に人名などで困ることも多いのですが,残念ながら現状では使用でき
ません.
 


第5回 適当に改行して

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これまで「読めない」メールについて述べてきました.「読めない」わ
けではないけれど,相手が「読みにくい」メールもなるべく避けたいも
のです.

この文章は原則として1行を全角32文字で書いています.

12345678901234567890123456789012

あなたがメールを書いている画面では,1行に何文字書けますか?
幅広い画面を使っている人は1行に文字を多く書けます.しかし,相手
がこれを狭い画面で読むとどうなるでしょうか.

たとえば,1行全角38字で書かれたメールを,1行全角32字で表示
する画面で読んだ場合には,次のようになってしまうことがあります.
(これははわざとやっています)

----------------------------------------------------------------
インターネット上の電子メール(e-mail)では,さまざまな言語,さま
ざまな種類の
コンピュータによって通信が行われています.これらの違いによって,
自分の送った
メールが相手に読めないという問題が起きることがあります.
----------------------------------------------------------------

つまり,変なところで改行されてしまうのです.(★3)

これをなるべく避けるためには,少し短めの適当な個所で強制的に改行
しておくとよいでしょう.メールソフトによっては自動的に改行が入る
ように設定できるものもあります.

適当に空白行を入れることも,読みやすくするコツです.
 


第6回 不要な引用文は削除して

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さて,「読めないメール」→「読みにくいメール」ときましたが,今回
は「読まれる必要のないメール」についてです.

相手のメールに対して返信をするときには,ほとんどのソフトで相手の
文が自動的に付加されるようになっています.これは相手の発言の一部
(まれに全部)を引用して,返信を簡潔にすることを目的としています.

たとえば,

 > 打合せは明日10時に
 午後からにできませんか?

とか,

 > 愛してる
 私も

のように(?)使います.

しかし,相手の発言はいつも必要とは限りませんね.相手に無駄な文を
読ませてしまうことになります.

不要な部分(あるいは全部)は削除してから送信しましょう.

また,メールのサイズを小さくすることによって,インターネットの途
中経路,サーバ,相手のパソコンすべてにとって負担を減らすことにも
なります.

この機能が自分にとってめったに必要ないのであれば,元の文が自動的
に付加されないように設定を変更しておくとよいでしょう.(★4)
 


第7回 同報送信ではプライバシーに気をつけて

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電子メールの利点のひとつに「同報送信」があります.同じ通信文を複
数の人に同時に送ることのできる機能です.

普通は TO(宛先)に複数のアドレスを指定すればよいのですが,他に
CC(Carbon Copy),BCC(Blind Carbon Copy)という機能もあります.
CC,BCC は直接の送信宛先ではないけれど,目を通していてもらいたい
場合に使います.CC では相手に送信宛先として表示されますが,BCC
では表示されません.つまり BCC では相手どうしにわからないように
送信することができるのです.(★5)

さて,たとえば,AさんがBさんとCさんに同報送信をするとします.
ここで,BさんとCさんが知り合いで,お互いにメールアドレスを知っ
ているならば,TO や CC で送っても問題はありません.ですが,そう
でない場合に TO や CC で送ると,Bさん,Cさんにお互いのアドレス
を知らせてしまうことになります.

メールアドレスもプライバシー情報なので,本人の同意なしに他人に知
らせてよいものではありません.お互いどうしが知り合いでない場合の
同報送信には,必ず BCC を使うようにしましょう.(★6)

なお,メーリングリストではその性格上,他の個人宛てとの同報送信は
避けたほうがいいと思います.面倒でも別便で.
 


第8回 時間は正しい?

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パソコンの時間を正しく設定しておかないと,あるメールに対しての返
信が,元のメールより前に届いてるという,時間逆行現象が起きること
があります.

あなたのパソコンの時計は合っていますか? 時間が合っているからと
いって安心してはいけません.
ほんとうにあなたのいる場所の時間ですか?

パソコンの日付・時間の設定は,同時に自分のいる時間帯(地球上のタ
イムゾーン)も設定する必要があります.

日本時間なら,標準時+9.00 です.
また,アイルランドなら今夏時間なので,+1.00 ですよね.

もし海外へパソコンを持っていくことがあれば,時間と同時にタイムゾ
ーンの設定も変えなければなりません.

日本で売られているパソコンは,たいてい出荷時に日本時間に設定され
ているはずです.一度確認してみてください.(★7)
 


第9回 ホームページのアドレスの書き方

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これまでは「こうしてはいけない」という注意ばかりでしたので,今回
は「こうしたほうがいい」ということを書きましょう.

相手に見てもらいたいホームページをメールで伝えるとき,どう書くの
がいいでしょうか? われわれ千葉高同期のホームページのある場所は,

www.chiba47.ki.nu

ですね.これにちょっとしたおまじないを付けます.

http://www.chiba47.ki.nu

となり,多くのメールソフトではここをクリックするだけで,自動的に
ホームページを表示するソフト(ブラウザ)を起動して,そのページに
飛んでくれます.(★8)

http とは Hyper Text Transfer Protocol の略です.講座の初めのほ
うでお話しした HTML の Hyper Text です.Hyper Text 文書を送って
表示させるための通信規約(プロトコル)が http です.

この形式を URL(Uniform Resource Locator) といいます.
つまり,URL とは

 通信規約://サーバ名/ディレクトリ(フォルダ)名/ファイル名

の形式になっていて,インターネット上のファイルの場所と共に,その
ファイルの送信方法までも記述してあるものです.(★9)
ですから,メール中のホームページのアドレスは URL で書くと相手に
とって便利になります.
 


第10回 (最終回) まとめ

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最後にもう一度まとめておきましょう.

(1)メールは基本的にText形式で
(2)半角カタカナ,機種依存文字,外字は使わない
(3)改行を入れて読みやすく
(4)不要な引用は削除する
(5)お互いに面識のない相手への同報送信は BCC で
(6)パソコンの時計を合わせて
(7)ホームページアドレスは URL で

重要度を考えると,

電子メールでの基本的な注意・・・・・・・・・・(2)
たくさんの人が参加している ML 独特の注意・・・(1)
道義的な注意・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)

この3つがもっとも大切で,あとはメールを読む相手のことを考えて,
読みやすくしようということでした.(★10)

私がこの ML に加わって約1年ですが,ここで取り上げた内容はいずれ
もこの間に ML 内で実際に起きていることです.しかし,また一般的に
もよくあることなのです.

ネットワーク利用上のエチケットを「ネチケット」ということがありま
す.電子メールというメディアは未成熟であり,そこでのマナーもまだ
知られているとは言えません.新しい学習指導要領では「情報」の授業
も始まり,その内容には「ネチケット」も含まれます.だからといって
固い規則で縛るということもどうかと思います.(★11)

基本的には「相手のことを考えて」ということになるのでしょうね.

 
当初1週間くらいのつもりが,だんだん延びてしまいました.
きょうでひとまず終わります.
ありがとうございました.
 

 

 
★★★  注  ★★★

★1:Hyper Text Markup Language の略.一般にホームページの作成
に使われる形式です.
Postpet のような特別なソフトはまた別の形式になっています.
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★2:設定方法(切り替え方法)はメールソフトによって違いますので,
ここでは書きません.ソフトの説明書または Help をごらんください.
もっとも,問題になるのはHTML形式を標準設定にしている一部のソフト
です.詳しくは,6月20日付藤原さんの「HTML形式のメイルの対策」
をごらんください.
また,HTML形式で送ったあとには,すぐText形式に戻しておきましょう.
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★3:メールソフトによってはこうならないこともあります.
しかし,気にし過ぎることはありません.まさか携帯電話で受信する人
のことまで考えてはいられませんから.
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★4:この講座では特定のソフトの操作については述べないつもりでした
が,やっぱり「特定のソフトを初期設定のまま使っている」と思われるメ
ールで起きているようです.

Outlook の方,メニューバーのなかの

  「ツール」→「オプション」→「送信」

で,「返信に元のメッセージを含める」のチェックを外すと,引用されな
くなります.
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★5:仕事上のメールでは,たとえばAさんが取引先のBさんにメール
する場合,

 TO: 相手のBさん
 CC: Bさんと面識のあるAさんの同僚Cさん
 BCC: Bさんと面識のないAさんの上司Dさん

のように使います.BさんにはAさんの同僚のCさんもメールの内容を
知っているということがわかり,Dさんにも部下の仕事がわかるわけで
す.
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★6:このとき TO(宛先)には自分自身を指定するとよいでしょう.
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★7:AOLの場合,パソコンの時間設定を日本時間にしていても,メ
ールの表示時間はアメリカ東部時間(EST,夏時間は EDT)でされてしまう
ようですね.
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★8:この機能のないメールソフトを使っている方,ごめんなさい.
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★9:ということは http の他のプロトコルもあるのですが,それは
ここでは書きません.
(注の追加):ホームページを作っている方も増えているようですね.
そのときに必要な ftp( File Transfer Protocol)もこのひとつです.
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★10:ビジネス上のメールでは時間の設定が非常に重要になることもあ
ります.
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★11:学校の授業で取り扱われる場合にはこれが心配です.
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★★★  謝辞  ★★★
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まずは,事前に草稿を読んで意見をくれた神谷ちづ子さん,円谷裕美子
さん,藤原真由美さんに感謝します.

「1日1テーマで分割連載」を提案してくれたのは藤原さんです.長い
ものはまず読んでくれないだろうと思っていました.この作戦は当りで
したね.

神代隆史くんにも感謝.わからないことを表明してくれたことがきっか
けになったのです.連載途中でメールをいただいた方,「むらいの会」
での意見も参考になりました.

そしてもちろん多数の読者の方々にも感謝.
 

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